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キャベツと小麦粉の国 日本

2009/04/23 木 | 本の紹介

以前紹介させていただいた
「餃子大全」と「名物焼そばの本」

このシリーズのコンセプトは

「国民食といっていいほど身近な料理でありながら」

「驚くほど地域性があり」

「隠れた名店・繁盛店と、名物メニューがたくさんあるので」

「その魅力と作り方の秘訣を紹介しよう」


というものでした。


が、

実はもう一つ隠れテーマがあります。

それが表題の「キャベツと小麦粉」

餃子の皮と餡には欠かせないものですし、
焼そばも麺に小麦粉、キャベツは必ずといっていいほど具に使います。



取材してみてわかったのですが、
餃子や焼そばの老舗、名店のほとんどは、
終戦から数年後のある一時期に集中して、
全国一斉に、ほぼ同時期に
創業しています。

理由としては、餃子の場合、
戦後、満州から引き上げた方々が出身地に帰省する
時期が重なっていることが挙げられますが

もう一つの理由としては当時の食料事情があります。

戦後の食糧難の時代、アメリカから大量の小麦を輸入したことがひとつ。
また、キャベツは高地でも栽培でき、適応範囲が広い野菜のため
戦後まもなく増産が始まり、
昭和25年にはほぼ周年で供給されていたそうです。
(餃子の餡に使われる白菜も同様だそうです)


そうして、小麦粉、キャベツ(白菜)が何とか手に入るようになり、
小麦粉を水に溶いたり麺にしたり、
キャベツを「増量」のための具にしたり、
醤油やソースで味付けしたり。

お好み焼、たこ焼き、焼そば、そしてもちろん餃子も含めて、
日本の大衆粉食文化は、
こうして一斉に普及していったといわれます。



見方を変えれば、

餃子や焼そば(お好み焼やもんじゃも)は、戦後の辛い時代に

何とか手に入るキャベツと小麦粉を使い、

何とか「お腹いっぱいになるおいしいものを」と店の人たちが

工夫を凝らして生まれたもの、といえます。


ここからは妄想ですが

キャベツと小麦粉から生まれたこれら大衆料理が

日本人の活力となり、戦後の復興を支え、高度成長を後押しし、

そしていまなお、その味が日本人のDNAに刷り込まれたかのように

愛され続けていることを考えると、

なんだかすごく、誇らしいというか心地よい気分に

なってしまいます。

ヨーロッパのチーズやワインのように、
インド圏のカレーのように
日本の「キャベツ&小麦粉」料理も、
和食やすしのように、もっと世界に
誇れるものとして広まってくれないかな〜、
と妄想しちゃいます。
(餃子は中華かもしれませんが…)

「キャベツ&小麦粉」と聞いて、
DNAが疼いた方はぜひ↓。
餃子大全
餃子大全
 
全国縦断
名物焼そばの本

全国縦断 名物焼そばの本




ちなみに弊社では、粉&キャベツのもう一つの代表料理
「お好み焼」の料理書もそろえております。
お好み焼1 お好み焼2

こちらもよろしければぜひ。
author : 雨ブロ | comments (0) | trackbacks (0)

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